構造用面材が耐久性に関係する?

今回は、建物の耐久性に関係する大事な話。

山猫百貨店一級建築士事務所の山根です。

柱や梁などで軸組をつくる木造軸組工法(木造在来工法)では、耐震性や気密性を高めるために外壁に構造用面材(面材耐力壁)を設けます。
※面材耐力壁があるから耐震性・気密性が高いとは限りませんが。。。

構造用面材は、地震や風に抵抗する板、と思ってもらっていいと思います。

この構造用面材にはいろいろな種類がありますが、

おそらく一番多く使われているのは【構造用合板】だと思います。

↑構造用合板

↑現在工事が進んでいる『ちゃぶ台のある家』では、【ダイライトMS】という面材を使用しています。

この2つの違いですが、

・「素材」

・「壁倍率」

・「透湿抵抗」

の3点に注目してみましょう。

・「素材」

【構造用合板】…木質(複数枚数の単板を接着剤で接着)

【ダイライトMS】…無機質(火山性ガラス質複層板)

■防腐性・防蟻性は無機質のダイライトに軍配が上がります。

・「壁倍率」

【構造用合板】9mm…「2.5」

【ダイライトMS】9mm…「2.5」

■地震・風に抵抗する力を数値化したと思ってください。どちらも「2.5倍」で同じ性能値です。

・「透湿抵抗値」(m2・s・Ps/ng)

※ダイライト(大建工業)カタログ記載値より抜粋

【構造用合板】12mm…「0.011」

【ダイライトMS】9mm…「0.0011」 12mm…「0.0014」

■「透湿抵抗値」が低いほど、湿気を通しやすいです。

数値を見るとダイライトのほうが格段に湿気を通しやすいようです。

ここで、湿気は通しやすい方がよいのか、通しにくいほうがよいのか、ですが…。

結論から言うと「通しやすい方がよい」です。

柱間に断熱材を施工する充填断熱で通気工法とした場合、外壁の中は上の図のようになっています。(工法によってはこうではない場合もあります。)

部屋から見ると、内装材・防湿材・断熱材・構造用面材・透湿防水シート・通気層・外装材となっています。

壁の中に結露が発生することを「壁内結露」と呼びます。

この「壁内結露」が起こると、壁の中にあるため普段見えていない柱や土台なんかを腐食させる原因となります。カビの原因にもなります。

冬場は外部よりも室内の湿度が高くなりますが、湿気が壁の中に入り込み、外気に冷やされると結露を起こします。

壁の中にはできるだけ湿気を入れたくありません。

なので、内装材と断熱材の間には防湿材(防湿シート)を設けます。

結露計算をして壁内結露は起こらないことを計算で確認していたとしても、施工するのは人ですからわずかな隙間から湿気が壁内に入ってしまうかもしれない。

そのときは、速やかに外部に出て行ってもらいたい。

上の図に通気層というのがありますね、ここは空気の通り道です。

湿気をここまで出せると通気層を通って外部へ逃がせます。

構造用面材を通り抜けると、通気層です。

が、この構造用面材が湿気を通さない素材だと、いつまでたっても湿気は逃げない。

ということは、「湿気を通しやすい」構造用面材を選びたいですね。

「壁内結露」を画像検索してみてください。こうはなりたくない、と思うはずです。

簡単な実験をしてみました。

透湿抵抗値は大きく差がありましたが、いったいそれってどのぐらい違うのか。

僕も気になっていましたので。

見てわかるぐらい違うのか???

その結果はどっちが湿気を通しやすいのか??【構造用合板】VS【ダイライトMS】」に書いています。

ということで、構造用面材は耐震性だけでなく耐久性にも関係するんです。

山猫百貨店一級建築士事務所では【ダイライトMS】を採用しています。

どっちが安いの??となると、【構造用合板】のほうが安いです。

でも、僕は【ダイライトMS】を薦めますね。

この部分ではコストを上げてでも性能を上げるほうがよいと思います。

というよりも、コストを落とす必要があるならほかの部分で落としましょう。

壁内結露のおかげで壁の中にカビが発生した、軸組の柱や土台が腐った、となると結果として改修費用のほうがはるかに高くなりますよ。

いい家に住みたいですよね。

いい家は、山猫百貨店一級建築士事務所へご相談ください。

今回は、構造用面材のお話でした。

それでは、また。