―「つづく家」― 解体調査編

山猫百貨店一級建築士事務所の山根です。

もうすぐ梅雨入りだそうです。早ければ明日から、なんてラジオで言ってました。

じめじめした季節になりますね~。

 

さて、耐震改修・断熱改修も兼ねたリノベーション計画が進行中の「つづく家」。

今回は調査の為に一部解体した様子をお届けします。

 

これは、解体前の写真です。

完成してからは見えない壁の中、天井裏などは、建物の性能に大きく関わっています。

この建物は確認申請は受けてますが、検査済証がなかった(完了検査を受けていない)ので当初の確認申請通りにできているかのチェックも欠かせません。

ということで・・・。

内側の壁、天井を解体してもらいました。

ちょうど先の写真の撮影位置と同じ位置のショットです。

解体したところ、シロアリや腐朽菌、雨漏りはなかったようで一安心。

1階リビング付近。

ここは2階部分。

全体的に、この家は当時の大工さんが丁寧に仕事をしているなぁという感想を持ちました。

 

ただ、やはりいくつか問題が・・・。

羽子板ボルトっていう部材同士を引き寄せる為の金物なんですが、

んっ!?

ボルトの先っぽが切られている・・・?

これじゃ羽子板ボルトの効果なしです。

別の箇所の羽子板ボルト接合部。こちらはきちんと留められています。

現場で壁が納まらなかったので羽子板ボルトを切断したようです。(そんなことしちゃだめです!)

 

ほかの部分でも解体しないとわからないことがありました。

先ほど見てもらった写真をもう一度見てもらいますが、

この写真には重大な欠点があります。

見づらいと思いますが、正面の壁左側の筋かいをよ~~く見てください。

近づいて撮影した写真。

なんと、筋かいがの片方は一部が欠き取られ、もう片方は途中で切断されています。

この四角い穴はキッチンの換気扇がありました。

換気扇を優先して筋かいを欠き切ったようですが、筋かいの欠損はNGです。

この筋交いは、大きな力がかかったとき(地震時)役目を果たさないでしょう。

前の住人が住んでいる間に大地震が来てなくてよかった。。。

解体しないとわからなかったことです。

この写真だと図面通りに適正に筋かいが入っていると思っちゃいます。

こういう見えない部分がこわいですね。

 

こんな道具も使ってチェックしました。

 

「下げ振り」を使って、傾きが適正な範囲かをチェック。

 

こちらは金属探知機。

基礎コンクリートに鉄筋が入っているかをチェックしました。

 

 

断熱材や構造体は基本的に完成すると見えなくなる部分です。

この見えなくなる部分に気を使って計画することが大切です。

壁を剥がすなら、そのときに断熱性も耐震性もグレードアップしちゃいましょう。

もちろん、新築の場合も見えない部分に気を使ってくださいね。

キッチンやユニットバスや壁紙なんかは、あとでも交換、やり替えのできる工事です。

新築後、数十年してキッチン等の住宅設備をやり替える方は結構いらっしゃいますよ。

断熱材や構造体のほうが変えずに長く使うことがほとんどです。

なので、予算配分をしっかり考えて家づくりしましょう!

 

それでは今日はこの辺で。

山根でした。