手を掛けることは、想いを掛けること。

あなたは今、スーパーマーケットで夕飯の買い物をしています。

今夜はカレーライス、じゃがいもとにんじんと玉ねぎを買う予定です。

野菜を選ぶとき、産地は気にしますか?

野菜を育てた農家の方の顔写真があるものとないものがあればどちらを選びますか?

今回はそんなお話です。(あくまで、お家づくりのお話です!!)

 

山猫百貨店一級建築士事務所では肌の触れるところにはできるだけ自然素材を使いたいと思って計画しています。

例えば、床には無垢のフローリングをお薦めしています。

 

さて、そのフローリング材はどこで作られたのか?その木はどこで育てられたのか?

はたまた、どんな人がどんな想いを込めて作っているのか。

 

先日、日本有数の杉の産地、鳥取県の智頭町へ。

1泊2日でしたが、山に生えている樹木が材料となって現場へ運ばれるまでの道のりを大まかに見学できました。

まずは、植林から伐採されるまで。

枝を落としたり間伐したりと手入れをしながら山で数十年育てられて伐採されます。

その後、伐採された丸太は木材市場に集められ、セリが行われます。

セリ落とされた丸太は製材所へ。

製材所に運ばれた丸太は加工され、床板や柱材などの材料となります。

材木店や工務店などを経由して現場へ。

そして、現場で大工さんが施工して家の一部となります。

…と、かなり端折って書きましたが実にここまで植林から数十年掛かります。

 

図面に「床仕上げ:杉 無垢材」と書けばそれだけでも杉の無垢材が施工されます。

設計士や工務店が製材所や山林まで行くことはかなり少数のようです。

ですが、どこで育った木がどこで加工されて現場に届くか、またそれに関わる人はどんな想いか、気になります。

その中で自信を持って良いと思うものをお施主様に勧めたいです。

だから材木店や製材所、産地まで足を運ぶことも必要だと思っています。

今回、智頭町を訪れて、山に関わる人、製材に関わる人、役所の人からお話を伺うことができました。

料理人でもこだわる人は産地まで行って直接農家の方の話を聞きに行きますよね、それと同じです。

智頭町では良い杉材と、強い信念と高い志を持つ方たちと出会えました。

 

その一方で、この地域の林業が時代の波に飲み込まれつつある一面も垣間見れました。

この地域だけではなく、林業は各地で問題を抱えています。

コスト重視で輸入木材が増えたことで質の良い国内の木が売れない。

手間を掛けて育てた良い材も、見合った価格で売れない。

次の世代の担い手がおらず、手入れをする人がいない、山が荒れる。

恵まれた資源が台無しになりつつあります。。。

 

良いものをつくるためには想いが必要です。

その想いをカタチにするためには手を掛けることも必要です。

「手を掛けることは、想いを掛けること。」

智頭町で昼食をいただいた、みたき園の女将さんの言葉。

山猫百貨店一級建築士事務所も、手間を惜しまず、本物をつくります。