建築は、暮らしの背景になれたらいい。

設計事例(住宅(改装))

3つの土間の家|ガレージから住空間へ

主屋(親世帯)の隣でガレージ兼物置として使われていた建物を、住空間へコンバージョン&リノベーション
ガレージ棟は子世帯が主に使用し、敷地内で緩やかにつながる二世帯住宅へと再構成しました。

この記事では、設計コンセプト、3つの土間による空間構成、自然素材と性能向上の工夫まで、実例を交えて解説します。

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目次

  1. 設計コンセプト|土間がつなぐ家族と暮らし
  2. 空間構成|役割の異なる「3つの土間」
  3. 動線計画と二世帯の距離感|近すぎず、遠すぎず
  4. 素材のこだわり|自然素材に包まれた心地よさ
  5. 性能のこだわり|ガレージから快適空間へ
  6. Before/Afterの要点|価値を高めた改修軸
  7. この事例から学べること|土間のある暮らしの効用
  8. 建築概要|規模・工法など
  9. FAQ|よくあるご質問
  10. まとめ|土間がもたらす“つながり”と“余白”

設計コンセプト|土間がつなぐ家族と暮らし

コンバージョン対象は、鉄骨造2階建の1階。元はガレージ・物置・洋室3室・トイレという構成でした。
ここへキッチン/リビング/ダイニング/収納/和室/浴室/洗面を新設し、主屋とは別の住戸機能を持たせました。

鍵となったのは、役割の異なる3つの土間

  • 来客を迎える玄関土間
  • 主屋と行き来する通り土間
  • くつろぎと家事を担うリビング土間

土間は「屋内外の境界をゆるめる」ことで、居心地と機能の両立を実現。家族や季節の変化に柔軟に応える設計思想です。


空間構成|役割の異なる「3つの土間」

① 皆のための玄関土間(ウェルカムゾーン)

玄関戸を開けてすぐの共用空間。

  • ベビーカーやアウトドア用品も置ける余裕寸法
  • 造作ベンチやコートフックで来客対応がスムーズ
  • 雨天時も靴の脱ぎ履きがラクな半屋外的使い勝手

② 主屋へ通じる通り土間(コネクトゾーン)

親世帯の住む主屋とつながる日常動線

  • 収納を併設し、買い物品・非常備蓄・園芸道具の置き場に
  • 来客動線と家族動線を**“ずらす”**ことでプライバシー確保
  • 内外の温熱差を緩衝するバッファ空間としても機能

③ くつろぎと利便性のリビング土間(ライフゾーン)

季節や用途に応じて表情を変える多機能空間。

  • 薪ストーブで冬は身体の芯から暖かく
  • 物干しスペースとしても優秀(床仕上げ&動線が相性◎)
  • 直射をコントロールしつつ、外部へ視線が抜ける設計で開放感を確保

3つの土間が緩やかなグラデーションでつながり、屋内外・家族・用途をシームレスに結びます。


動線計画と二世帯の距離感|近すぎず、遠すぎず

  • 親世帯⇆子世帯の行き来は通り土間が担い、視線のコントロールで干渉を最小化
  • 来客は玄関土間→LDKへ。家族動線は通り土間→各室へと分離
  • 物干し・家事・薪の搬入など“作業系動線”を土間側に集約し、居室側を清潔に保つ

「距離の最適化」を丁寧に設計することで、共助がしやすく、暮らしやすい二世帯が成立します。


素材のこだわり|自然素材に包まれた心地よさ

  • 床材:桧無垢材…やわらかな足触りと香り。土足ゾーンとの取り合い納まりも丁寧に計画
  • 内壁・天井:珪藻土左官…調湿・消臭性で多用途空間の空気質を安定
  • 和室:土佐和紙貼…柔らかい陰影でくつろぎを演出
  • 造作材:杉・桧…無塗装〜オイル仕上げで経年の艶を楽しむ
  • 柿渋仕上:吊収納下の桧材に採用…日々色が深まる自然塗料
  • 大谷石(薪ストーブ背面):耐火・蓄熱性に優れ、触感がやさしい石材

“見える”だけでなく触れる・嗅ぐ・座るまで。五感に届く素材体験が、暮らしへの愛着を育てます。


性能のこだわり|ガレージから快適空間へ

もともと無断熱で居住には不向き。そこで、外皮・開口・熱源を中心に再設計しました。

  • 断熱改修:壁・天井に高性能グラスウールを適正厚で充填/気流止めを確実に
  • 開口部:新設部は樹脂サッシ、既存アルミには樹脂内窓を追加して熱貫流を低減
  • 熱環境薪ストーブの輻射+蓄熱を活かし、土間の熱容量を計画的に利用
  • 仕上と性能の両立:珪藻土・無垢材といった調湿性素材により体感的な快適度を向上

見た目の刷新だけに終わらせず、温熱・空気質・耐久性を底上げした“暮らせる性能”へ。


Before/Afterの要点|価値を高めた改修軸

  1. 用途転換(コンバージョン)
     ガレージ→住戸機能。二世帯計画×敷地内同居の実現性が向上。
  2. 動線の再編
     玄関土間/通り土間/リビング土間で、来客・家族・作業を整理。
  3. 外皮性能の改善
     断熱・開口・蓄熱計画を統合し、四季の快適性を獲得。
  4. 自然素材化
     左官・無垢・和紙・石で素材循環型の長寿命仕様へ。

この事例から学べること|土間のある暮らしの効用

  • バッファ機能:温熱差・汚れ・作業動線を受け止め、居室を守る
  • 拡張性:物干し・薪・アウトドア・趣味を住まいに取り込む
  • つながり:家族・主屋・庭・道路…人と場所の距離を調整する装置
  • 資産性:コンバージョンで既存ストックの価値再生が可能

「土間」は、暮らしの余白使い勝手を同時に広げる、有効な建築的ツールです。


建築概要|規模・工法など

  • 所在地:香川県木田郡三木町
  • 建物用途:戸建住宅
  • 構造:鉄骨造
  • 工事種別:リノベーション+一部増築(コンバージョン)
  • 増築・改装面積:約100㎡(約30坪)
  • 設計:山猫百貨店一級建築士事務所
  • 施工:有限会社田中建設

FAQ|よくあるご質問

Q1. ガレージから住空間への用途変更は、法規面で問題ありませんか?
A. 用途変更の要否・手続きは面積や地域条例で異なります。事前調査と行政協議が必要です(専門家がサポートします)。

Q2. 土間は冬に寒くなりませんか?
A. 外皮断熱・内窓・熱源(薪ストーブ等)・日射取得/遮蔽をセットで計画すれば快適です。土間の蓄熱も有効に働きます。

Q3. 二世帯のプライバシーは確保できますか?
A. 通り土間で動線を分節し、視線をコントロールすることで近居感覚の距離感を保てます。

Q4. 自然素材はメンテナンスが大変?
A. 定期的な手入れは必要ですが、補修・塗り重ねが容易で、経年の味を楽しめます。


まとめ

「3つの土間の家」は、無断熱のガレージを家族が暮らす温かな住空間へと再生したプロジェクト。

  • 土間が家族・用途・屋内外をつなぎ、
  • 自然素材が五感の心地よさを育て、
  • 断熱・開口・蓄熱計画が暮らしの質を底上げしました。

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